春
伊達家発祥の地 高子城址
しろ きいろ むらさき
きみどり みどり やまぶきいろ
べにいろ うすべにいろ
ももいろ うすむらさき
光が弾けている
風が軽やかに 通り過ぎる
昭和三十六年 卯月
としのり 四歳
こころ うきうき
胸 高鳴る…
水面(みなも)の中の あおいそら
吸い込まれそうな 透明な水
さやさや さらさら ことこと
優しき せせらぎの音が
とても 心地よく
近くに見える里山は
いつの間に 淡い緑に
柔らかさを まとった その姿は
初々しさと 凛とした強さに包まれる
ああ 目に映る
今 この かけがえのない
愛おしい ものたちに
あれもこれもと
そして いつまた出会えるのかと
いつも いつも
心焦がしながら せいてしまう
もどかしさは…
この美しさが 嬉しさが
いつまでも
いつまでも
めぐり終えることが ないように
ただ 春を 待ちわびる
いつまでも ひたすら 待ちわびる
春、愛おしきものたちへ
捧ぐ… …
高子城址の丘 北面の磐座
昭和三十年代中頃の高子沼 美しき桃源郷