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我が心の大正浪漫

明治維新以降の日本は、日本人の意思とは違った歩みをしている様に想えてなりません。穏やかな風土と 天に通じる唯一の言語 日本語を持しながら、自らの良さを感じ取れない このもどかしさを、日本人として 何とかしなければと想います。武士道が 明治維新により一度は破壊され掛けた時に、この国に天使たちが降りて来てくれました。その天使たちは文学に勤しみ 芸術を愛し 教養を身に付け、その精神性を極限まで高め、大東亜戦争で散 って行きました。そして彼ら亡き後、日本は 今日の悲しき姿となっております。本当の日本を未来へ紡ぐ。

「遠野物語」から映画「河童」へ… 日本人に於ける約束とは

f:id:toshi-kuma25317:20170206020533j:image                                                                           遠野にて

  

民俗学者であり作家の 柳田國男収筆「遠野物語」と

音楽家であり映画監督の 鬼才 石井竜也監督の映画作品

「河童」…

 

この二つの作品をモチーフとして

 

私が今迄 ただ漠然と感じていたことに留まらず

この度改めて 心の奥底で感じ切ったことを

 

詳細に そして有りのままに 綴ってみました

 

双方とも極めて 深遠なる内容のものであり

必然 記事も長めになりましたが…

 

岩手県遠野と言う 遥か古(いにしえ)より続く

様々な意味に於ける風光明媚な土地柄に根差す

「ひとの想い」と言う 永遠の浪漫に

 

是非に触れて頂きたいと 切に想っております…

 

 

f:id:toshi-kuma25317:20170206020610j:image                                                                           遠野夜景

 

舞台は昭和二十ハ年の田舎

病床の身を推して故郷に帰る 主人公

 

子供の頃の忘れ得ぬ 家族との想い出と

幼い河童との約束を 心に抱き…

 

私の中での 河童は何故か「真正直で純粋な日本

人」そのもの…

何故か強引にも 重なり合う

 

「約束」は 日本人にとっては至極 当り前のこと

それが魂と魂とを繋ぎ 互いの穏やかなる記憶を紡ぐ 

何より大切なもの

 

それは まるで ひだまりの様…

 

 

f:id:toshi-kuma25317:20170206020847j:image                                          映画河童のワンシーン 祖父と

 

              「ひだまり」

 

遠い記憶を 辿り行けば 

そこに 懐かしい笑顔

 

深い深い心の奥で 今も生きる

あなたのことは いつ迄も忘れない

 

あなたが残してくれた 想い出たち

赤く赤く沈む夕日は 胸を染めた

 

もう一度 せめてもう一度

逢えるなら 伝えたいことがあるんだ

今 素直になって

 

もしもいつか あなたのもとへ

行く日が 訪れたなら

青い青い 丘の小径で 逢える気がする

 

走り抜けた月日を越え その胸に

抱かれて いつまでも夢を漂っていたい

 

そよぐそよぐ 草の隙間に揺れる ひだまり

今も今も あなたは僕を包む ひだまり

 

 

f:id:toshi-kuma25317:20170206020906j:image                                             北上山地の最高峰 早池峰山

  

「恰(あたか)も片仮名の へ の字に似たり」とは

柳田國男が「遠野物語」に於いて

 

北上山地の主峰 早池峰山(はやちねさん)を表した

下りである

 

早池峰には 宮沢賢治も好んで登り

この山を彼自身の童話にも 取り入れている

 

標高1,917mの大きな山で アプローチが長い

所謂 山深いのである

 

この山の麓にあり 岩手県の内陸部に位置する遠野市

一言で言えば 風光明媚な土地柄であり

 

冒頭に述べた 早池峰山を古里の守り神とし

 また 山からから見た遠野の街は さしずめ 里…

 

遠野物語

柳田國男が明治四十三年に発表した

遠野地方に伝わる 逸話 伝承などを記した 説話集である

 

そして 日本の民俗学の先駆けとも 称される

 

また柳田は「妹の力」の執筆により

今で言う世俗的な使われ方とは 解釈を異にする

 

現代とは違った意味の 古代に於いての「妹」と言う

言葉…

 

近親者や配偶者となった 男性に

女性が其の霊力を分かち与え 加護を与える

妹とは そして女性とは そう言う存在であった

 

柳田は其の事についても解説をし また明言もしている

 

 

f:id:toshi-kuma25317:20170206020934j:image                                                                   遠野 田園風景

  

遠野物語には 幾つかの話がある

 

一つめは…

農家の娘と 其の家で飼われていた

立派な雄馬との悲恋が切っ掛けとなり

その悲しき結末が養蚕へと繋がる「オシラサマ」

 

この「オシラサマ」とは 眼の神でもある…

 

二つめ

美味そうな馬を食べようとした 河童がいた

 

しかし馬の力が強過ぎて 淵へ引っ張り込めずに

河童は逆に引っ張られて 馬の飼主の家に持って

行かれてしまう

 

馬の飼い主の旦那に とくとく言い聞かせられて

許して貰った河童の話「河童駒引きの話」

 

三つめは

土淵の孫左衛門の家の座敷童子(ざしきわらし)の話

 

多くの豪家の屋敷や蔵に住まいし

目には見え無い家の神として 昔は畏敬されていた

 

座敷童子が其の家にいる間は 家は富貴自在だが

他人にその姿が見える様になると 其の家は忽(たち

ま)ち衰退し 

幸運は他家に移る と語られる…

 

其れ等は まるで夢物語を聴いているとしか思えない

何と表現して良いのやら ぴんと来ないのが 正直な

ところである

 

しかしながら その反面 不思議でもある

私自身 本当の心の奥底では

文化人類学に近くて遠い この物語りを 信じている

自分が居る…

 

特に 疑ってなど いない

脈々と流れる日本人の血が そうさせるのか

 

 

f:id:toshi-kuma25317:20170206021028j:image                                                                           遠野にて

  

古神道や日本の神道 そして 古来よりの日本の神話

古(いにしえ)より伝わる 様々な説話

この日本という國は何と 奥が深いことか…

 

元より此の國の民は 嘘をつくことを 良しとしない

寧(むし)ろ 恥と考えている様だ

 

其れら 日本の風土と文化 そして特質を私は

どんな時にも 信頼している

 

 

河童の話で想い出す…

 

二十数年前になるが 石井竜也監督の映画作品「河童」を観て

日本人の神との関わり方を まざまざと見せ付けられた

 

既に成人した息子のいる 主人公…

其の報道カメラマンの中年男性が 暫くぶりに海外から

帰る

 

彼は 小学生ぐらいの時にハーモニカが切っ掛けで知り

合った河童の子供と

 

ある約束をした事が

心の奥の 遠くて深いところに ずっと引っ掛かっていた

 

悲しいかなそれは 少年にとっては忘れてしまう程の

何の変哲も無い 日常の一言だった

 

「テン また来るからな 待ってろよ」

子河童は其れを信じて 待った

友である少年の残像を拠りどころに ずーっと待った

  

 f:id:toshi-kuma25317:20170206021121j:image                                                            少年と子河童テン

  

この 子河童は 少年と知り合った頃に

母河童を亡くしていた

 

主人公の男性が この少年だった頃

少年の自宅から友達宅への 道の途中にある

天神沼で 悲劇は起こった

 

天神沼… 所謂この河童沼が怖くて

家に帰れないと言う友達に 仕方無く少年が貸した

バット

 

天神沼の脇を通る時に

母河童が誤って立ててしまった物音に びっくりした

その友達が

 

音がした所へ思わず バットを投げ付け

其れが母河童の頭に ぶつかってしまう

そして母河童は 酷く苦しんで 亡くなってしまう

 

其の事をテンは知っていた 全て観ていたのである

激怒した父河童を 子河童のテンは押さえ そして説得

した

あれは 故意では無かったと…

 

河童は能力が高い テンは真実を知っていた

勿論 子供たち各自の 其々(それぞれ)の心根も

だからテンは その中でも純粋な 主人公の少年を庇った

 

テンは少年と心を通わせ 自らの中で 信頼出来る友と

していた

だから 少年の友達をも 庇った

 

 

f:id:toshi-kuma25317:20170206021155j:image                                                河童沼と言われる 天神沼

  

しかし 悪い事は続いた…

村人達が河童を捕まえようとして 爆弾を仕掛ける

 

其の時 子河童テンの説得を受け入れた

父河童の悲しみの念は 如何ばかりであったろうか…

 

河童親子の住んでいた洞窟は 崩れ落ちてしまう

そして テンと外界とを結ぶ道がこの時 無くなってしま

った

 

時が過ぎ…

主人公が何かと気になり訪れた 河童沼は酷く

様変わりをしていた

 

何気に主人公が 自分の父親のこと 

かつての天神沼のことを 愛する息子に話していると

何者かが昔在った筈の 河童の住み家の扉を開けた

 

主人公の男性が 自らのカバンから溢れた玉に導

かれ 洞窟の中に入ると

 

だいぶ歳をとり 容貌は変わってしまったものの

其の眼が あの時と同じだった

眼差しが 子供の頃のままだった

 

澄み切っていて 全ての悲しみと宇宙の真理を受

け入れた 美しい瞳

 

テンだった…

 

「 テン 待ってたの…


  どうしたの  ずーっと待ってたの…


  あれからずーっと  待ってたの…


  ごめんね  ごめんね  ごめんね 」

 

 

f:id:toshi-kuma25317:20170206024720j:image                                                     年老いたテンと主人公 

  

主人公は其の時やっと 気が付いた

「約束」が人間にとって

本当は どんな意味を 持つものなのか を

 

それなのに 自分の中では どんな意味を持って

いたのか を

 

其れと同時に

テンにとっては どんな意味があったのか を

 

私が 極めて素朴な感覚で 答えるならば

約束は「全て」…

何を差し置いても 約束は「全て」なのだと 想う

 

テンは あの時から ずっと…

数十年前に会ったきり ずっと音信不通であった

数十年越しの友の 優しい言葉の投げ掛け に対し

 

其の 年老いた顔の表情が 和み

然も 旧知の友に対する 慈愛に溢れた

 

甘える様に そして愛おしむ様に

真っ直ぐな其の眼は 何も言わなくとも 

心の中で…

 

「やっと 気付いて くれたの…

  想い出して くれたの…

 

  遠い古里へ 帰らないで

  君が約束を果たしに 来てくれるのを

  待っていたよ… 

 

  でも これで帰れる

  友人である君との 約束を 果たしたからね

 

  ありがとう…

  来てくれると 信じていたよ」

 

そう言っていたに 違い無い…

 

テンとの再会を果たし かつての少年は ここで絶命する

 

 

f:id:toshi-kuma25317:20170206022405j:image                                         テンとの再会後 主人公の最期

  

映画「河童」のラストでは

寡黙で穏やかなテンが 小型の宇宙船を操り古里

へと帰って行く

 

亡くなった我が友と その愛息へ テンなりに精一杯の

別れを告げて… 私には そんな気がした

 

末期の病であった主人公は

魂の記憶を辿りながらの 人生の最期に…

 

テンとの約束を 果たす為に

この場所に 自らの意思で…

肉体という名の 自らの乗り物を 連れて来た

 

そんな 気がする…

 

 

「約束とは 自分一人のものじゃ 無い」

其れを知り 掛け替えの無い人生を終える事が出来た

主人公は 幸せだった…

 

実は 私には今の今迄 気付けなかったこと がある

此のブログを書いていて ふと気が付いた

 

主題歌の歌詞が どんな意味なのか やっと解った

 

 

f:id:toshi-kuma25317:20170206025407j:image                                                  主人公を待っていたテン

  

              「手   紙」

 

君とはなれて ひとり想う 今は元気 それとも

あの頃のままの 笑顔なら それが本当にいいね

 

別れてから ずっと考えてた やさしさとは何かを

誰のためと言う わけでも無く 愛は自分の中にある

 

全てゆだねては また待ち望み

知らずに ときは流れて

闇にさけんでも ただ風だけが 心を吹き抜ける

 

かたすみの記憶さえ この胸を迷わせる

届くあてのない この手紙を なんどもなんども

書きつづけた

 

あんなにこらえていた恋でも 今となれば 懐かしい

選んだひとだと お互いに想い込んでた あの日々

 

 

歌詞は紛れも無く テンの

友を信じて待ちわびる心だった…

 

そして私は二十数年間も この事に気付けず

 

テンの想いに対し 

 

本当に 済まない事をしたと 想う…

 

 

 

 

                          友が 約束を果たせることを

                                          ずっと待ち続けた

                                或る幼い河童の 心の浪漫 より…

 

 

 

 

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