昭和十九年 今いる友に捧ぐ そして後世の日本人へ捧ぐ…
敷島の 大和ごゝろを 人問わば
朝日に匂う 山桜花
昭和十九年十月二十五日は
今生に於ける 僕らの別れでした
予科練甲飛十期の友たち
其れに近頃知り合ったばかりの友たち
永峰くん そして大黒くん…
今 目の前にいる
大西瀧治郎中将の 労いの言葉が
僕の腑(はらわた)に染み入るかと
問われれば
確かに其の様に感じたかも知れませんが
僕の本心を以ってすれば…
君たち 友のこと
君らの秘めた心情やら
ご家族の方々のことなど
そちらのことに
些か気を取られていた様に想います
日本のこれからのこと…
子供たちが明るくはしゃぐ姿や
女性たちが希望を持って
優しく艶やかに過ごせる世の中が
きっと来るだろう とか
母に済まない とか…
水盃は味気無く
片道切符の別れには
確かに似合っていたのかも知れません
僕らは大和隊 朝日隊 山桜隊
そして敷島隊に分かれ 征きました
唯一 靖国の桜の花の下で
逢えることも
今となっては 楽しみの様に想います
僕は君たちの真心を決して 忘れません
そして
生き残る日本男児よ…
貴方たちには
ささやかな 伝言があります
いつも 雄々しくあって下さい
これから生まれる子らに
夢と希望を与えて下さい
決して 私利私欲に走らないで欲しい
僕らは そう願っています
また 信じています
故郷で桜の花を見たことが
つい 昨日のことの様に想えます
神風特別攻撃隊 敷島隊 中野 磐雄
さくら さくら
のやまもさとも みわたすかぎり
かすみかくもか あさひににおう
さくらさくら はなざかり
さくらさくら
やよいのそらは みわたすかぎり
かすみかくもか においぞいずる
いざやいざや みにゆかん…
感謝…