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我が心の大正浪漫

明治維新以降の日本は、日本人の意思とは違った歩みをしている様に想えてなりません。穏やかな風土と 天に通じる唯一の言語 日本語を持しながら、自らの良さを感じ取れない このもどかしさを、日本人として 何とかしなければと想います。武士道が 明治維新により一度は破壊され掛けた時に、この国に天使たちが降りて来てくれました。その天使たちは文学に勤しみ 芸術を愛し 教養を身に付け、その精神性を極限まで高め、大東亜戦争で散 って行きました。そして彼ら亡き後、日本は 今日の悲しき姿となっております。本当の日本を未来へ紡ぐ。

風立ちぬ…この浪漫 あなたのもとへとどきませ

f:id:toshi-kuma25317:20170205115419j:image                                                      映画「風立ちぬ」より

  

大正 昭和初期と言う 激動の時代…

 

若者たちは 文学に詩歌に 焦がれ

そして芸術に その眼を 潤ませる…

 

自らの魂さえも 呆れるほどに

然も謙虚に 見詰め続け

 

いとも簡単に その答えを

心の在り方と言うものの中に 見い出すことと なる

 

ひとの為に 自らの全てを投げ出すほどに

彼らの精神性は 急ぎ足で 極められて行く

 

浪漫に満ち溢れる中…

真正直な彼らは 本当は何を目指したかったのか

 

大正生まれの先人たちに対し


私は敢えて贈りたい 言の葉がある

 

 

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木立の向こうの 更なる彼方から

芳(かぐわ)しき

清涼なる山河の香りを 取り込んで

 

あの木洩れ日と 戯れながら

この私の意識さえも 虜にしてしまう

 

あの 天使の 優しき吐息たちよ…

 

誰が風を 見たでしょう

僕も貴女(あなた)も 見やしない 

 

けれど 木の葉を震わせて

風は 通り抜けて行く

 

風よ 翼を震わせて

 

貴女のもとへ とどきませ…

 

 

f:id:toshi-kuma25317:20170205120606j:image                                                      堀辰雄 所縁 美しい村 

 

風立ちぬ

耳触りの良い言葉だ

 

聴いただけで空気が流れ 微かな音がし 

そして 風が通る…

 

心の目が 耳が 五感が

そして 多次元の感覚さえも

 

過ぎて行くその姿を

悪戯に何時までも 追うことは無い

 

 

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大正浪漫を彩った作家 堀辰雄

 

明治三十七年十二月二十ハ日

東京都 平河町に 生を受ける

 

そして昭和二年五月二十ハ日に

長野県 信濃追分にて 死去す

 

日本の小説を それまでの「私小説」から

 

創るものとしての 作品へと

所謂「浪漫」を確立させた 小説家である

 

これにより

彼の作家たる所以(ゆえん)は

正に 大正浪漫そのもの とも言える

 

 

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映画監督の 宮崎駿

自身の映画作品「風立ちぬ」の中で

実在する堀越二郎の半生を 描こうとした

 

堀越二郎

明治三十六年六月二十二日

群馬県 藤岡市に生まれ

 

昭和五十七年一月十一日に

七十ハ歳で 亡くなっている

 

零戦零式艦上戦闘機)の設計者として

航空史に其の名を刻む 堀越である…

 

映画「風立ちぬ」は 言わば

 

堀越二郎の業績に刺激を受けた

鬼才 宮崎駿監督が

 

虚実を混ぜ合わせて創作した

大正から昭和に掛けての

意を決した 壮大なる物語りである

 

 

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宮崎駿監督の父親

 

零戦を製作していた中島飛行機

戦闘機部品を納入する為の会社

宮崎航空興学 を経営していた

 

つまり 宮崎監督にとって

堀越二郎と其の時代を描くと言うことは

 

父親への想いと

自身の幼少期の憧れとを

心に刻み付けると言う事 でもあった

 

そして 更に言うならば

焦がれるものに届かんとする

正に 自身の持つ憧れへの旅であった

 

 

映画のメインタイトル

風立ちぬ」は勿論 

堀辰雄の同名小説に 由来をする

 

宮崎監督は この映画の製作に当たり

 

堀越二郎堀辰雄

実在したふたりを混ぜ合わせて

ひとりの主人公「二郎」像を創り上げた

 

この「二郎」を通して

フィクションとしての 自身が焦がれる

 

精神性が異様に高く 然も足早な

1,930年代の青春を描こうとしている

 

そう あの浪漫溢るる大正青年たちの

束の間の休息とも言える

悲しいほどに急ぎ足で駆け抜けようとする 青春で

ある

 

 

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堀越二郎と言う

稀代の航空技術者を描くのに

 

堀辰雄と言う大正浪漫を代表する ひとりの作家の

波乱に満ちた生涯と 其の作品を採り入れる と言う

 

誰しも想像がつかない事を大胆にも やってのけて

いる

 

 

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堀辰雄に視点を 移してみたい

 

堀は母親   師  恋人  友人たちに

何故か矢継ぎ早に 先立たれてしまう

 

特に 母親は 関東大震災で悲惨な亡くなり方をして

いる

 

だから 堀は何時も 自らの死の影を背負いながら

苦悩の中で 静かに

生と死のモチーフを 追求していた

 

そう言う小説家で あった…

 

 

堀は 室生犀星芥川龍之介に 師事をする

 

しかし 師 芥川が突然の自殺 

然も婚約者 矢野綾子も看病虚しく 結核で死去す

 

そして其の後 様々な感情を抱きつつ堀は

自身に於ける 綾子との生活と死別を題材に

小説「風立ちぬ」を書き上げた

 

 

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余談ではあるが

群馬県にあった中島飛行機 武蔵野工場が 

 

大東亜戦争末期に 福島県福島市疎開をした

 

宮崎駿監督の映画「となりのトトロ」の中で

 

その主題歌「さんぽ」のモデルとなった

トトロの山こと「信夫山」…

街の真ん中に童話の世界の様に佇む山 である

 

中島飛行機は その信夫山(しのぶやま)の西側山麓に 

戦闘機部品の地下工場を 建設した

勿論 極秘事項であった…

 

 

終戦の年 昭和二十年三月より中島飛行機

地下工場の建設と並行して

 

航空機エンジンの生産を 開始したが

僅か七台を生産したところで 敗戦を迎えてしまう

 

もしかしたら あの二千馬力の

疾風(はやて)のエンジンだったのか…

想いは募り 尽きることは無い

 

 

f:id:toshi-kuma25317:20170206195206j:image                                  トトロの山こと信夫山の さんぽ道

  

中島飛行機の地下工場に 纏(まつ)わる話として

日本人なら何処かで 聴いた事があるかも知れない

或る話が 昔から存在する…

 

戦争が あのまま続けば 次かその次には…

福島市が 原子爆弾の投下予定地になっていた

 

今となっては事実検証のしようも無いが

子供時分から周りの大人達が 話題にしていた

 

今 想い出しても聞き飽きる程に 話題になっていたのは 紛れも無い事実である

 

ただし その話題に触れる時

誰もが 不思議な程に 静かに話した

 

現実に 戦闘機部品の地下工場があった

そして 戦車のキャタピラー工場もあった

 

私は幼かった上に その時分は興味も薄く

内容まで詳しく 覚えてはいない

 

皮肉にも 地下工場が存在したという事実が

「其れは本当なんだよ」と 言っているかの様でも

ある

 

 

更に余談である…

 

宮崎アニメ「となりのトトロ」で

その山と さんぽ道は 前述した通り 福島市の信夫

山がモデルである

 

そして 麓の畑や田園風景は 武蔵野がモチーフ

となっている

 

私は そのことが とても嬉しい

理由は 元より武蔵野好きな私の 心の内に仕舞って

おくことと する…

 

 

f:id:toshi-kuma25317:20170205120127j:image                                              武蔵野に於ける 山里の風景

  

時に 私はこのブログを綴るにつけ

とても不思議に 想ったことがある

 

ひとつひとつの名前  地名

そして ひとつひとつの出来事

 

例えば 堀越二郎零戦   

 

宮崎駿監督と 彼の父親の会社と 中島飛行機

 

中島飛行機零戦

 

中島飛行機武蔵野工場が

トトロの里 武蔵野からトトロの山と散歩道の

福島に疎開

 

中島飛行機

トトロの山 つまり信夫山麓に

航空機エンジンの地下工場建設 そして終戦…

 

沢山の点が全て 線で結び付く

そして ひとつの面になって行く

 

宮崎駿監督の ものを観る眼が 際立つ

これは凄い…

 

 

f:id:toshi-kuma25317:20170205120218j:image                                             軽井沢町 堀辰雄文学記念館

  

其処に 堀辰雄の半生が

雨水の如く染み入り そして染み渡る

 

確かに 堀辰雄

昭和二年に既に 亡くなってはいる

 

昭和二十年 敗戦当時の日本人は

誰しもが「死」と ある意味「潔さ」に

しっかりと 向き合っていたのでは ないだろうか

 

少なくとも敗戦後に

数多の日本国民が 豹変するまでは…

 

「自分の心を充たしているものが

死の一歩手前の存在としての 生の不安である」

そう語る堀の 言葉の裏には

 

自身の周りの人々が 矢継ぎ早に亡くなって行く中で

 

堀の心の内にある 元より胸を患っていると言う

自分に対する不安と

 

それでも生きたいと強く想う本音とが 常に交差をし

また往き来していた と考える…

 

そうした堀辰雄の心の闇と

敗戦までの一途な日本人の心 とが

 

死を覚悟しつつも生きたいと願う その一点に於いて

私には 重なり合って見えて来る

 

 

f:id:toshi-kuma25317:20170205120242j:image                                                             堀越二郎堀辰雄

  

共に 同じ時代に生まれ

浪漫溢るる青春に 身を焦がした

 

ふたつの異才 堀越二郎堀辰雄

 

彼らは あの激動の時代に生まれ

何を考え そして何を想い綴ったので あろうか

 

 

潔き そして教養を愛する 健気な 

 

かつての 浪漫溢るる 日本人たちへ

 

心を込めて この言の葉を 贈りたい

 

 

ありがとう…

 

この想い あなたのもとへ とどきませ…


        

 

                       足早に そして ひとの為に

                       自らの青春を 駆け抜けた 

                       気高き 日本の若者たちの浪漫 より…

 

 

 

 

 

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f:id:toshi-kuma25317:20170205120341j:image                                             この想い あなたのもとへ                                                                        とどきませ…